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屋根断熱では換気口を設けないで無換気小屋裏にすべき




ketsurowotomeru

平成14年に井上書院から出版された、山田雅士氏の「結露を止める」
という本を読み返してみましたところ、
出版されてから10年も経過していますが、
すでに
屋根断熱では換気口を設けないで無換気小屋裏にすべき
と述べておられる事を改め知りました。

 

理由は換気口を設けると
冬場の暖房時暖まった空気が換気口から排出されてしまい
断熱の意味がないというもの。
冷房時の冷気の漏れにもなりますね。

さらに、屋根断熱の場合には、
天井断熱は併用しない方が結露に対して安全であり、
その理由は天井断熱をすると
小屋裏温度が低くなってしまうという現象が起きるとも記載があります。
(小屋裏空間が温度差のある別の空間になってしまうという事です。)

さらに山田氏は

「天井に断熱材を設けると、
天井からの下の居室の温度環境が改善される事は明らである。
しかし冬季は、小屋裏空気が天井断熱の効果が大きい程低温になるため相対湿度が高くなり、
小屋裏で結露を生じる原因になる。

この結露は小屋裏の金物に凝集したり
野地板の上や下に発性して凝集し、水滴となる。
激しい場合は雨漏りと同じ様な状態になり天井に斑点が現れる。

これを防ぐには、
小屋裏に換気口を設けて、
天井を通過した水蒸気が換気口から外に排出され、
小屋裏空気の湿度を低くして結露を防ぐ方法が取られた。

しかし水蒸気をスムーズに排出させるだけの
大きな換気口を設けると
雨や雪の吹きこみの原因になりやすく、
換気口を小さくしてしまうので効果は乏しい」

と天井断熱には懐疑です。
確かに最近では激しい雨や竜巻が発生しているので
天井断熱は年中危険という事ですね。

また夏の放射熱による躯体の温度上昇が、
冷房時に逆転結露となるリスクを大きくしている。
問題を起こすのは繊維系の断熱材の漏気が主犯ですが。

屋根断熱をして、
さらに天井断熱もすれば効果が一層よい
と思った施主がいましたが、
無駄である事改めて知っていただきたく。

夏の放射熱による躯体の温度上昇は
繊維系のものではあまり効果がありません。
効果があるのであれば
「2階に住めない」
「夕方になって外気温が下がったけれどまだ熱が籠っている」
という不満は無いはずですね。

躯体は人間の様に汗を出さず、空気との熱交換のみ。
つまり空気は一種の断熱材であり、
躯体の熱を吸収するのに時間が掛る。

屋根断熱をして、熱せられた躯体からの放射熱を遮断しておけば、
小屋裏は快適になるのです。