断熱に関わっていると「多くの人が大気中の水蒸気を液体の水」と思っていることに気が付く。空気中に存在する水蒸気はガスであり気体である。
もちろん中間の状態のものもある。たとえばヤカンから出ている湯気はまだ液体の水といってよいが気体になる寸前である。拡散現象という言葉を聞いた途端に意味が分からないという人も多い。実はこれはごく自然の現象なのだ。
相対湿度という言葉はみんなよく聞くが、高い程、水蒸気の圧力も高い。自然界では平衡になろうとする法則がある。つまり圧力の差が無くなるまで広がっていく。これを拡散という。
さて、結露計算にはこの拡散現象での水蒸気挙動が基本となっている。空気中に含まれる水蒸気には限度があり、限度を越える分が液体となる。従って、計算できる。しかし実際には計算値より結露水は少ないかあるいはゼロかもしれない。なぜなら拡散現象はあらゆる方向に広がっていくことをいうものであり、断熱層だけに集中して移動するものではない。
水蒸気が怖いのは、空気移動に伴って、動いていくものである。つまり漏気や対流である。従って空気移動を阻止する手段が講じられていないと結露はいつまでも解決できないといえるのではないか。
しかし正直なところ、持続性のある気密処理は至難の業であると思う。気密の「気」は水蒸気ではなく空気と理解してないとまた話が混乱する。